オーガニック野菜にとどまらず、オーガニック化粧品、無添加化粧品という言葉を聞くようになってもう久しいですが、そういった話題の際に必ずと言っていいほど出てくるのが”界面活性剤”のお話です。肌に良くないとされ、敬遠されがちな界面活性剤ですが実際にところはどうなのでしょうか?今回はそんな界面活性剤について触れてみましょう。
そもそも界面活性剤とは何なのでしょうか?簡単にまとめると「油と水を混ぜることができる物質」が界面活性剤になります。本来、水と油は混ざることはありません。水が入っている容器に油を入れても混ざらずに油が表面に浮く形になります。諺でも相いれない関係性のことを「水と油のような関係性」と表現されることもありますが、まさに通常では混ざらないのが水と油です。
その水と油の境界線をなくしてしまうのが界面活性剤のわけですが、界面活性剤は水に馴染みやすい構造(親水基)と油に馴染みやすい構造(親油基)の両方を持っているのが特徴。まさに読んで字のごとく水と油の境界線をなくし、水と油が混ざった乳白色の状態を造り出すことができます。イメージとしては牛乳や基礎化粧品の乳液等がまさにその姿になります。
さて、ここからが本題ですがこの界面活性剤は悪いやつなのか、良いやつなのかという点です。結論から言えば「種類によっては有害、種類によっては無害」と言えます。具体的にな例を出してみましょう。我々の身近なもので言えばコーヒーや牛乳などは界面活性剤が含まれていますが果たして有害と言えるでしょうか?1日に3ℓなどを飲めば何かしらの影響はあるかもしれませんが現実的ではありません。また、食材で言えば卵の黄身や大豆に含まれるレシチンという物質も界面活性剤に該当します。
上記のような「レシチン」は実用化され、害もほぼないと考えられています。事実、化粧品などに使われている界面活性剤はこのレシチンが多く用いられています。ただし、このレシチンも種類によっては有害なものが存在し一概に安全とは言えません。実際の所、界面活性剤は「陰イオン系列」「陽イオン系列」「両性イオン系列」「非イオン系列」の4種類に分かれ、この種類によって悪いやつか良いやつかに分かれます。
このあたりから横文字が入り、一気にわかりにくく(笑)なりますので簡単にまとめていきましょう。
陰イオン系列界面活性剤
陰イオン系の界面活性剤は主に洗剤やシャンプーの成分として用いられている界面活性剤になります。非常に洗浄力が強く肌にとっても刺激性はあると考えられています。具体的には石鹸やラウリル硫酸ナトリウムなどがこれに分類され正直なところ肌にはあまりよろしくない成分です
陽イオン系列界面活性剤
陽イオン系の界面活性剤は主にリンスやトリートメントの成分として使用されている界面活性剤。また、殺菌作用も持つため、消毒として用いられる事もあります。肌への刺激は非常に強く、毒性も高くなります。
非イオン系列界面活性剤
主に食品添加物や洗剤の成分として用いられるのが非イオン系です。肌への刺激性はほとんどなく安全ですが、基本的に天然の物はなく合成で造られます。また、肌への刺激は弱いですが脱脂力、油を吸着する力が強い為、過度な使用や長期の使用で乾燥肌の原因になるとも考えられています。
両性イオン系列界面活性剤
界面活性剤の中で肌への刺激がほぼないとされているのがこの両性イオン系です。乳幼児用のクリームや食品にも用いられているのはこの両性イオン系です。
基本的に基礎化粧品に用いられるのは非イオン系か両性イオン系のどちらかになります。よって過度な敏感肌やアトピー肌でもない限りは界面活性剤による肌への負担はそこまで考慮しなくてよいと考えていいと思います。ただ、非イオン系界面活性剤は脱脂性が強く、長年使っている間に乾燥肌を助長する可能性もありますので注意が必要です。
しかし、一般の方々にはどれがどの界面活性剤でどれが良いかの判別は正直難しいのが現状です。過度に刺激性を気にしすぎるよりも使っていると肌の調子が良いと感じるものをチョイスして使うのがBestといえると私は思います。私の運営する鍼灸院にも多いのですが刺激性を気にするあまり、神経過敏症となってしまい、余計な敏感肌を招いてしまうケースもあります。難しく考えずに自分に合った化粧品探しをおススメします。わからない場合や不安な場合は多くのメーカーの化粧品を取り扱う美容の専門家に相談するのがおススメです。
ドラッグストアの美容部員さんやひとつのメーカーの商材しか取り扱わない美容家の方の場合、どうしても視野が狭くなってしまい適切な商品選びができないことも見受けられます。国家資格をもつ美容鍼灸師や皮膚科、クリニックに相談するのが確実でしょう。
井上
コメントを残す