美容鍼灸王子® 美容鍼灸学会にて喋る ~第1回国際美容鍼灸学会レポート~ 

2018年10月14日 第1回国際美容鍼灸学会が開催されました。

美容鍼灸師として、美容鍼灸に携わる者として、美容鍼灸の技術を伝える者として今回の学会が開催されたことは非常に喜ばしいことであり、参加できたことが光栄です。

鍼灸は”再現性、エビデンスが弱い医療”と比喩されることがあります。伝統医療、東洋医学は経験医学的な側面があり、なおかつ技術も術者によってことなる為、そういった表現をされるのは致し方ない部分だと私も考えます。

また、「美容」というジャンルにおいては医療という括りからも除外されることが多く、同業者からも邪険に扱われることも多いのもまた事実です。美容鍼灸という存在を確立させるためにも、そして鍼灸という予防医学をもっと普及させる為にも今回の学会は大きな一歩になったと実感できました。

第1部 基調講演 明治鍼灸大学 学長 矢野 忠 先生

冒頭は矢野先生から「最新の皮膚科学と美容鍼灸の研究」についての講義から始まります。研究や臨床データは我々も知らぬところで日々アップデートされています。私も普段よりアンテナを広くし論文を読むようにはしていますが、今回は美容鍼灸に直結する最新情報が生講演で盛りだくさん。

矢野先生の講義で感じたことは「皮膚はとても繊細なセンサー」であるということ。それを理解し、施術者は患者の皮膚を扱わなければいけないということ。身体の治療もそうですが、繊細な治療が日本鍼灸の醍醐味であり、それを提供するのが美容鍼灸師の役割だと感じます。

第2部 基調講演 東京大学附属病院リハ室 粕谷 大智 先生

続いては東京大学附属病院のリハビリテーションを鍼灸で行っている粕谷先生からの表情筋についての知見と考察。粕谷先生は30年以上顔面神経麻痺の治療やリハビリに携われており、顔面部への低周波刺激(パルス通電)の危険性や留意点を中心とした講義が展開されました。

近年、美容鍼灸を導入する治療院も多いですが、顔面部に通電する美容鍼灸も同時に増えました。私も所属する㈶日本美容鍼灸マッサージ協会においても顔面部鍼通電のリスクは以前より危険視されていましたが、今回の講義ではそれが理に適う点を理解することができました。養成所や解剖学書では学ぶことができない表情筋の解剖生理学、今回の学会においても非常に重要度が高い内容となりました。

第3部 基調講演 KOKI KAWANAMI acupuncture 院長 川並 弘樹 先生

アメリカでも指導に携わっておられた川並先生の講義は日本鍼灸の有用性を再認識できる内容でした。鍼灸といっても日本式、アメリカ式、フランス式、中国式等、国毎にその傾向が存在します。特別な定義は存在しませんが繊細で刺激が少ない日本鍼灸はその海外でも評価されている術式のひとつです。

特に経絡治療という全身治療を私も普段から行っていますが、その可能性や貢献度は非常に高いと私も感じます。局所の症状だけでなく全身の関係性、症状と心理状態の関係性、食事などの環境因子、すべてを考慮して全身調整を行う経絡治療は美容鍼灸にも非常に関連深い要素を持ちます。

顔は身体の不調を映し出す鑑として捉え、全身を治療する。そこが数多くの美容と異なる最大の違い。顔の為の全身治療を行う上田式美容鍼灸®の重要性を再認識することができました。

第4部 基調講演 大磯治療院 院長 長谷川 尚哉 先生

長谷川先生からは美容領域での訴訟問題のシェアや施術を行う上での注意点の講義。また、存在する美容施術の現状を知ることができる内容。正直なところ、これがホントに肌に良いのか?逆に肌にとって負担になるのではないかと思われる施術や商材も存在します。医療者として、国家資格者として理論のあるものを、安全性の問題を考慮して施術を提供しなければいけないことを再認識することができました。

また、鍼灸師だけでなく医療、病院との連携や地域医療の必要性も感じた内容。鍼灸がどんなに良いものでも鍼灸だけで良くなるわけではありません。時には医師と連携する必要もあります。

午前中だけでも非常に盛沢山の内容ですが午後からは一般鍼灸師や学生には美容鍼灸の基礎講演、実技講習。㈶日本美容鍼灸マッサージ協会の会員は認定講師による症例発表が始まります。

1.哲学堂 院長 井上堅介 先生
 フェイスライン下顎骨の外周のたるみの悩みを持つ患者に対する上田式美容鍼灸の効果
 ーNS(10段階スケール)を用いた触感触の差異および視覚的なフェイスラインの形状の差異を数値による比較検討ー

2.美容鍼灸サロン ハリアット 院長 中野慎市 先生
 顎関節の開口度に対する上田式美容鍼灸の効果検証

3.寿あき屋 院長 菅原万貴 先生
 上田式美容鍼®️初回体験者に対する二重顎改善効果検証

4.アコルデ 院長 小原浩憲 先生
イオン球®️貼付による身体柔軟性に及ぼす効果の検討

5.衣笠仲通鍼灸整骨院 院長 加藤宏 先生
ニキビ・ニキビ痕に対する上田式美容鍼灸Ⓡの効果

6.福岡美容鍼灸院Canna 院長 井上公佑 
色素沈着、毛穴、シワ、たるみ、油分に対する上田式美容鍼灸®︎の効果

7.美容鍼灸サロンQ 院長 中嶋拓美 先生
眼瞼挙筋機能に対する上田式美容鍼灸®︎の効果

の計7症例

僭越にも今回の国際美容鍼灸学会における最優秀発表賞に選ばれてしまった私です。

美容鍼灸、鍼灸はまだエビデンスが弱い部分があるのは否めません。私自身も臨床家として、日々鍼灸を行い治療を行っていますがそのすべてのエビデンスや理論が実証されているわけではありません。しかし現存する医療の大半は実証されているものの方が少ないのもまた事実。エビデンスも臨床力、再現性もすべて大事だと私は思います。何かひとつに固執せずにバランスよく学ぶ、それが鍼灸師として美容鍼灸師として大事なのではないかなと考えます。

追伸

なんと当日は偶然にも私の誕生日。なんだか祝われるのも恥ずかしかったので黙っていたのですが最後の最後でサプライズ祝。参加者全員にお祝いされるという忘れられない誕生日となりました(笑)

井上

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ABOUTこの記事をかいた人

通称 美容鍼灸王子® 終末期医療や高齢者医療の現場で鍼灸師として活躍。年間2,500件以上の施術を担当。その過程で、仮面様顔貌など容姿が変化する難病の患者を救いたい思いから、日本における美容鍼灸のパイオニアである上田隆勇氏に師事。女性だけでなく、難病患者も美容鍼で改善に導く治療院を運営。その後の活動が評価され、最年少にて初代上田式美容鍼灸®認定講師の1人として任命を受ける。 現在は施術の傍ら専門家への美容鍼灸の指導活動や、一般向けの講演活動を行い正しい美容医療の普及活動も精力的に行っている。メディア取材実績多数。